しょんぼり映画村

マッハ人生の見た映画の記録、または負の遺産。

GW特集「アルマゲドン2007」から始めるB級映画

どうもマッハ人生です。GWの中盤、皆さまどうお過ごしでしょうか。

どこに出かけるでもなく、誰と会うでもなくダラダラお過ごしの方の中には気の迷いで「あぁ何かB級映画見てみたいな~」なんて思う方もいるかもしれませんね。そんな方にうってつけの一本を紹介したいと思います。それがこちらです。

 

アルマゲドン2007

原題:Earthstorm

制作年:2006年

監督:テリー・カニンガム

脚本:マイケル・コニーヴェス

f:id:JingMatsubara:20160503102022j:plain

(c)2006 S.V. Scary Films 5 Inc. and Yeti productions Inc

 

はじめに言っておきますと、このように月は落ちてきません。当然ですね。

この映画の素晴らしいところは「ヒット作品便乗映画あるある」を網羅しているところです。B級映画を見始めるにあたって、ひとまず適性を確認するにはピッタリだと思います。面白いのかって?まぁ見てみなよ。

(以下ネタバレ含む)

 ①設定がぶっ飛んでる

あらすじ

小惑星激突の衝撃で月面に生じた巨大な亀裂。地球には隕石が降り注ぎ、異常気象でハリケーンが発生。そして月が崩壊した時、人類の歴史も終わる…。地球最大の危機に“月溶接作戦”に挑む男たちの姿を描いたSFパニック大作!

 

あらすじにはこうあるのですが、要は「巨大隕石で月が割れそうだからどうにかしてくっつけようぜ!」ってお話です。正直な話おいらは割と慣れてしまってるので「なるほど今回はそういうやつなのね」で済んでしまうんですが、友人に話したところ「状況がよくわからない」と言っていました。多分このあたりの設定をスッと受け入れられるかどうかでB級映画に対する適性みたいなもんがわかるんじゃないでしょうか。

また、こういったガンジャをキメまくったパーティで決めたようなトンチキ設定はヒット作品便乗作品の魅力でもあります。某氏が既にレビューしていらっしゃるので詳細は省きますが、エイリアンとアバターを戦わせようなんていう作品もあります。勝手に戦え。

 

②CGが雑

ここ最近の映像技術の発展はめざましく、この間公開されたSF映画「オデッセイ」では火星や宇宙空間での美しい映像が見事に表現されていました。シナリオだけでなく映像としても美しい作品はやはり見ていて気持ちがいいですね。ではここでアルマゲドン2007における、CG技術を駆使した映像美を見てみましょう。

 

f:id:JingMatsubara:20160503110727j:plain

なにこのコーンのこびりついたウンコ

冒頭1分でこれです。大抵こんな感じです。

「伝わればええんや!」という雑コラの精神がひしひしと伝わってきますね。これを見て「まぁ伝わったからいいよ」と受け入れられる寛容な心が必要です。宇宙空間を航行中のスペースシャトル艦内で重力があるかのように歩いていてもここは宇宙だと思える想像力が必要です。

ちなみに本作中に出てくるCGにはもっと酷いものもあるんですが、それは見てのお楽しみということで。

 

③魅力的な主人公

どんな映画でも、やはり顔になるのは主人公でしょう。もちろん主人公を取らない作品もありますが、画面に魅力的な登場人物がいるとやはり引き込まれてしまいます。それは何もハンサムであることとイコールではありません。表情や雰囲気、演技をすべて含めて「魅力」なんです。それではここで本作の主人公ジョンを見てみましょう。

f:id:JingMatsubara:20160503111605j:plain

 

はい。

 

………、………。

 

 

ちなみにこのジョン、ビル解体の技術者。

奥さんとは3年前に死別し、それ以降自暴自棄気味に仕事に没頭しています。

そしてこのたび爆破のプロフェッショナルとして専門機関にヘッドハンティングされ、なんやかんやで月に行きます。この謎リクルートB級映画ならではですね!

 

④整合性のないシナリオ

上で触れたように、この映画「月に隕石が衝突、月の破片が地球に降り注いて大ピンチ!そして月自体も崩壊の危機に瀕していて、その影響で地球が氷河期になっちゃうかも!?!?そしてなにより、このままじゃ割れた月が地球に衝突しちゃうかもしれない!」というものなんです。そこでアメリカ宇宙研究所が声をかけたのがビル解体のスペシャリスト。とりあえずここまでは理解していただけましたか?理解していただけてますよね?先に行きますよ。

研究所では、主人公を呼んだ女性研究員と古株の男性研究員が今回の事件への対処法について対立しています。なんでも月の地質がはっきりせず、それによって対処方法が違ってくるそうで。

 

「月の地質は鉄が含まれていない」

「いいえ鉄が含まれているわ!」

「現在支持されている学説を否定して君の学説に賭けろというのかね、この状況で!」

 

あの、さっきから月の破片めっちゃ落ちてきてませんでしたっけ?それ分析してないの?

ちなみに作中そのことに気付いたのは主人公だけで、主人公に頼まれた部下が研究所に隕石のかけらを持ち込んでようやく事態は前進します。流石主人公!ヤッタネ賢い!

それでどうやって月の崩壊を止めるっていうんだ?

 

「割れた月の中心で強力な磁力を発生させてくっつけよう!」

 

ヤッターかっこいい!!流石主人公!!KOOL!!

 

⑤謎危機

アイディア一発勝負なB級映画には、どうしてもクリアしなければいけないものがあります。それが「十分な長さ」です。本作をはじめとするテレビ映画は、与えられた90分強の枠を埋めなくてはならないんです。そのために入れられるものが謎危機です。とくに本筋と関係ないようなトラブルが起き、その解決または回避のために十分な時間を使い、そしてその後何事もなかったかのように話が進みます。

この映画は主人公の登場シーンからすでに謎危機が発生し主人公が奔走、そして謎のまま主人公の命は助かります。後半でも、停電でスペースシャトルと管制室の通信が途絶えたり、負傷するために登場したスペースシャトルの乗組員が謎危機によって負傷して物語が終わるまで横になって休んでいたりします。

f:id:JingMatsubara:20160503121301j:plain

ずっとこのままです。

 

嫌になってきましたか?大丈夫です。もっとひどい映画になると意味のない会話で十分な尺を稼いだりします。本作はまだマシですよしっかりしてください

 

⑥二人は幸せなキスをして終了

突然汚くなったな?

この手の映画、最終的にはパツキンのチャンネーとキスをして終了します。本作「アルマゲドン2007」もそうです。

ただこの映画の面白いところはですね。主人公を読んだ女性研究員も金髪で、スペースシャトルを操縦し共に危機を乗り切った女性乗組員もなんと金髪だったんですよ。これは最後までどっちとキスをして終了するのかわかんないですねぇ!!

気になるところではあると思いますが、結末は実際に映画を見てご確認ください!!

 

結論

さて皆さま。ここまで見てこの映画を面白そうだと少しでも思っていただけましたでしょうか。この映画の魅力を伝えられるように頑張ったつもりですが、どうでしょう。

 

はっきり言ってこの映画、つまらないです。

隕石の衝突で月が割れそうになのを磁石でくっつけるという設定、また隕石だけでなく気象にも影響がでていることを描いた点はいいと思うんですが、それ以外に突出して頭のネジが飛んだような設定や常軌を逸したキャラクターがでるわけでなく、わりときれいに収まってしまってるんですよね。何も考えなかったら「ふーん」と思って流れていくような、そんな映画でした。

 

じゃあなんでB級映画の導入としてこれをオススメするかって?

低予算B級映画は大抵こんなもんだからです。

 

某氏によるクソ映画レビューのおかげで、低予算映画は面白いと錯覚する人がちらほら見られますが、それは某氏が数多くの肥溜めに頭をつっこんで見つけたクソの中のコーンのごとき映画を面白おかしく紹介しているというだけなんですよね。個性のある魅力的な低予算映画の背景には、発泡スチロールを口に含んだような感想しか出ないような「ただただ時間が流れる」だけの映画が数多く存在しています。そのことを理解した上で、皆様にはB級映画クソ映画の沼に片足をつっこんで欲しいなと思います。

 

これはお願いではありません、強制であり義務です。

 

アルマゲドン2007 [DVD]

アルマゲドン2007 [DVD]